医療関係者の方へ
近年、免疫チェックポイント阻害剤の登場で癌に対する生体防御の存在が強く再認識されるようになりました。これは癌細胞サイドの増殖抑制を行う化学療法とは異なり、本来持っていた癌への免疫反応を賦活するものです。これまでの免疫細胞療法でも、癌に対する攻撃を確実に上げているものの、その効果が出にくい理由は免疫チェックポイント機能によるものでした。
今後は免疫チェックポイントに注目が集まり、抗PD1抗体のような阻害剤はもとより、チェックポイント抑制対策が考案されることになります。しかしチェックポイントの抑制もさることながら、もともとの癌に対する生体防御反応が上がらなければ、チェックポイントも働きようもありません。癌に対する攻撃を上げるという生体防御を上げるという意味では既存の免疫細胞療法の必要性は何も変わりません。こういったことからも安全性の高い既存の免疫細胞療法はこれからも有効な手段になりうると確信しています。
また温熱療法においては、癌細胞の温熱効果として細胞表面の抗原性の上昇が見られます。
抗原性の低い癌細胞に対して自分自身の生体防御や、投与される免疫細胞にとって増強効果をもたらします。
これとは別に温熱療法では体温調整における癌組織内の新生血管の不完全さが正常部組織内の血管との間に差を生じさせることにより、治療後の一定時間の癌組織内の相対的血液量が増加します。
その間、化学療法を併用の場合では薬剤の相対的組織内濃度の上昇が期待され、また放射線治療を併用する場合には酸素濃度の増加による酸素効果が期待されます。
ビオセラクリニックでは、高度進行がんの場合、主病巣の進行を緩やかにしたり新たな転移を抑えたりすることで重要な臓器の機能不全に至る時期を遅らせ、“元気に長く生きること”そして“できるだけ本来の寿命に近づけること”を目標に治療を提供しています。また進行がんの補助療法においては、画像上確認できないがん細胞に対しての攻撃性を高め、さらに抗がん剤との併用の場合は、その増殖抑制の効果を最大限に発揮することで、無再発期間の延長、治癒を目指しています。多くの先生方にその理論をご理解いただければ幸いです。
学会発表
ビオセラクリニックの学会・研究会等での発表について報告させていただきます。
掲載年 | 学会・研究会名 | 題名 | 発表者 |
---|---|---|---|
2018年 | 第35回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
食道癌術後、残食道皮膚瘻を伴う頚部リンパ節転移に対し温熱療法併用樹状細胞腫瘍内局注療法を施行した一例 | 矢川 陽介、谷川 啓司、成宮 孝祐、工藤 健司、前田 新介、豊島 幸憲、今里 亮介、有賀 淳、大杉 治司、山本 雅一 |
2016年 | 第20回 関東ハイパーサーミア研究会、全身ハイパーサーミア研究会合同研究会 |
全身温熱療法と免疫細胞療法の併用効果 | 谷川啓司、伊藤裕介、小林泰信 |
2015年 | 第32回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
ハイパーサーミアの生体防御に対する影響:免疫療法との併用で得られる増強効果 | 谷川啓司、小林泰信、伊藤裕介、有賀淳 |
2014年 | 第27回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
全身温熱療法のがん患者免疫応答に及ぼす影響 | 小林泰信、伊藤裕介、酒井麻友子、藤田泉、小峰啓史、松下典正、有賀淳、谷川啓司 |
2014年 | The 6th Asian Congress of Hyperthermic Oncology & The 31st Japanese Congress of Thermal Medicine |
Effects of whole-body heat treatment on T-cell-mediated immune response in cancer patients. | Ito Y, Kobayashi Y, Yatagawa A, Matsuura Y, Tanigawa K. |
2014年 | 第35回 日本癌免疫外科研究会 |
免疫療法が奏功したと考えられる胆嚢癌、膵癌の2症例 | 酒井麻友子、谷川啓司、有賀淳、山本雅一 |
2014年 | 第35回 日本癌免疫外科研究会 |
当院における治療中の患者の話題に関する検討 | 小川祐子、長尾愛美、谷川啓司、鈴木伸一 |
2014年 | 第35回 日本癌免疫外科研究会 |
消化器がん患者の末梢血γδT細胞のフェノタイプとその増殖特性 | 小林 泰信、酒井麻友子、藤田泉、小峰啓史、松下典正、清水公一、有賀淳、小林博人、谷川啓司 |
2014年 | 第35回 日本癌免疫外科研究会 |
全身加温処理の末梢血T細胞免疫応答への影響 | 小林 泰信、伊藤 裕介、谷田川あゆみ、松浦友香、酒井麻友子、松下典正、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2014年 | 105th AACR Annual Meeting |
Phenotype and expansion profile of peripheral gd T cells in patients with gastrointestinal cancer. | Kobayashi Y, Sakai M, Fujita I, Komine H, Matsushita N, Shimizu K, Aruga A, Kobayashi H, Tanigawa K. |
2014年 | 第18回 関東ハイパーサーミア研究会、全身ハイパーサーミア研究会合同研究会 |
温熱療法のがん患者の免疫応答への影響(第1報) | 伊藤裕介、小林泰信、谷田川あゆみ、松浦友香、谷川啓司 |
2013年 | Taipei International Symposium on Cancer Hyperthermia | Clinical experience of whole-body hyperthermia combined with cell-based immunotherapy for advanced cancer in Japan | 谷川啓司 |
2013年 | SITC Annual Meeting | Whole-body heat treatment stimulates antigen-specific T cell responses in human system. | Kobayashi Y, Ito Y, Sakai M, Matsushita N, Imai K, Shimizu K, Aruga A, Tanigawa K. |
2013年 | 第30回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
温熱療法を受けている患者の受療回数によるQOLの変化の縦断的検討 | 小川祐子、武井優子、古賀晴美、長尾愛美、鈴木伸一、伊藤裕介、谷田川あゆみ、小林泰信、谷川啓司 |
2013年 | 第30回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
全身温熱装置heckel HT3000の使用経験 | 伊藤裕介、小林泰信、谷田川あゆみ、酒井麻友子、松下典正、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2013年 | 第30回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
全身加温処理の抗原特異的T細胞応答への影響 | 小林泰信、伊藤裕介、谷田川あゆみ、酒井麻友子、松下典正、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2013年 | 第30回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
全身加温処理の抗原特異的T細胞応答への影響 | 小林泰信、伊藤裕介、谷田川あゆみ、酒井麻友子、松下典正、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2013年 | 104th AACR Annual Meeting |
Effects of whole-body heat treatment on antigen specific T cells responses. | Kobayashi Y, Ito Y, Ostapenko VV, Sakai M, Matsushita N, Imai K, Shimizu K, Aruga A, Tanigawa K. |
2013年 | 第17回 関東ハイパーサーミア研究会、全身ハイパーサーミア研究会合同研究会 |
全身温熱装置heckel HT3000の使用経験(第2報) | 伊藤裕介、小林泰信、鈴木彩子、谷田川あゆみ、バレンチナ・オスタペンコ、谷川啓司 |
2012年 | 第25回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
近赤外線ランプを搭載する全身温熱装置の有用性(第2報) 抗原特異的T細胞応答への影響 |
小林泰信、伊藤裕介、バレンチナ・オスタペンコ、酒井麻友子、松下典正、今井健一郎、奥山隆二、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2012年 | The 11th International Congress of Hyperthermic Oncology (ICHO) & The 29th Japanese Congress of Thermal Medicine (JCTM)合同大会 |
Effects of whole-body heat treatment on the function of T cells in human system. | Kobayashi Y, Ito Y, Yoshimoto Y, Suzuki A, Yatagawa A, Ostapenko VV, Sakai M, Matsushita N, Imai K, Okuyama R, Shimizu K, Aruga A, Tanigawa K. |
2012年 | 第33回 日本癌免疫外科研究会 |
heckel HT3000による全身加温処理の末梢血免疫系細胞への影響 | 小林 泰信、伊藤 裕介、バレンチナ・オスタペンコ、松下典正、今井健一郎、清水公一、有賀淳、谷川 啓司 |
2012年 | 103rd AACR Annual Meeting |
Evaluation of whole body hyperthermia system. (I) Changes of core body temperature and their effects on immune system. | Kobayashi Y, Ito Y, Ostapenko VV, Matsushita N, Imai K, Shimizu K, Aruga A, Tanigawa K. |
2012年 | 第16回 関東ハイパーサーミア研究会、全身ハイパーサーミア研究会合同研究会 |
当院での近赤外線全身温熱装置heckel HT3000の使用経験 | 小林 泰信、伊藤 裕介、吉本 悠里、鈴木 彩子、バレンチナ・オスタペンコ、谷川 啓司 |
2011年 | 第24回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
近赤外線ランプを搭載する全身温熱装置の有用性(第1報) 末梢血免疫細胞への影響について |
小林泰信、伊藤裕介、バレンチナ・オスタペンコ、松下典正、今井健一郎、清水公一、有賀淳、谷川啓司 |
2011年 | 第28回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
近赤外線ランプを搭載する全身温熱装置(HT-3000)の有用性(第2報) 有害事象評価および免疫細胞機能への影響について |
伊藤裕介、小林泰信、バレンチナ・オスタペンコ、谷川啓司 |
2011年 | 第28回 日本ハイパーサーミア学会学術大会 |
近赤外線ランプを搭載する全身温熱装置(HT-3000)の有用性(第1報 ) 体表・深部体温の変化について |
小林泰信、伊藤裕介、バレンチナ・オスタペンコ、谷川啓司 |
2010年 | 101st AACR Annual Meeting |
Optimal conditions for dendritic cells labeling with superparamagnetic iron oxide for cellular magnetic resonance imaging. | Kobayashi Y, Shimizu K, Okuyama R, Imai K, Ostapenko VV, Ohno S, Kobayashi T, Aruga A, Tanigawa K. |
2009年 | 第22回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
超常磁性酸化鉄による単球由来樹状細胞と活性化リンパ球の標識ならびにその体内動態の解析への応用 | 小林泰信、清水公一、大野智、奥山隆二、今井健一郎、バレンチナ・オスタペンコ、小林民代、有賀淳、谷川啓司 |
2009年 | iSBTC Annual Meeting | Labeling of Dendritic Cells and Lymphocytes with Iron Oxide MR Contrast Agents for Cellular MRI. | Kobayashi Y, Shimizu K, Ohno S, Okuyama R, Imai K, Ostapenko VV, Kobayashi T, Aruga A, Tanigawa K. |
2009年 | 100th AACR Annual Meeting |
Possible application of imaging cytometry in the detection of CTL responses to a dendritic cell-based multipeptide vaccine in patients with gastroenteric cancer. | Kobayashi Y, Okuyama R, Imai K, Shimizu K, Aruga A, Ostapenko VV, Tanigawa K. |
2008年 | 第21回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
細胞イメージ解析装置を用いたNK細胞機能の解析 | 小林泰信、奥山隆二、今井健一郎 、清水公一 、有賀淳、小林民代、谷川啓司 |
2008年 | 第38回 日本免疫学会学術集会 |
A novel assay for analyzing the function of NK cells and CTL using cell-based high content analysis system. | Kobayashi Y, Tanigawa K, Okuyama R, Shimizu K, Aruga A. |
2008年 | 99th AACR Annual Meeting |
A novel assay for analyzing natural killer cells function using cell-based high content screening system. | Kobayashi Y, K. Tanigawa K, Okuyama R, Shimizu K, Aruga A. |
2004年 | 第34回 日本免疫学会学術集会 |
グリコサミノグリカンのNK細胞の増殖に及ぼす影響 | 小林泰信、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2004年 | 第63回 日本癌学会学術総会 |
担癌患者末梢血NK細胞のNCRおよびNKG2Dの発現 | 小林泰信、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 第16回 日本バイオセラピィ学会学術集会 |
IL-2依存性付着能を応用した末梢血NK細胞の分離培養について | 松下典正、小林泰信、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 第62回 日本癌学会学術総会 |
NK細胞の選択的増殖と抗体医薬併用細胞療法への応用 | 小林泰信、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 第24回 日本癌免疫外科研究会 |
非特異的免疫細胞治療における効果細胞の解析 | 須藤俊美、小林泰信、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 第24回 日本癌免疫外科研究会 |
NK-enriched LAK細胞の細胞障害活性の亢進ならびにHerceptin®との併用によるHER2/neu陽性細胞に対する細胞障害活性の亢進 | 小林泰信、須藤俊美、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
論文掲載
ビオセラクリニックの論文掲載について報告させていただきます。
掲載年 | 掲載雑誌 | 題名 | 発表者 |
---|---|---|---|
2016年 | Alternative Therapies in Health and Medicine,JUL/AUG 2016 VOL.22 NO.4 | Improvement of QOL and Immunological Function With Lentinula Edodes Mycelia in Patients Undergoing Cancer Immunotherapy: An Open Pilot Study | Keishi Tanigawa, MD, PhD; Yusuke Itoh, BS; Yasunobu Kobayashi, PhD |
2014年 | Immunology Letters 162: 256-261 |
Fever-Range Whole-Body Heat Treatment Stimulates Antigen-Specific T-Cell Responses in Humans. | Kobayashi Y, Ito Y, Ostapenko VV, Sakai M, Matsushita N, Imai K, Shimizu K, Aruga A, Tanigawa K. |
2012年 | 癌と化学療法 39(12):1785-1787 |
免疫療法受療中のがん患者におけるQuality of Lifeの検討 | 長尾愛美、武井優子、小川祐子、島田真衣、谷川啓司、鈴木伸一 |
2012年 | 癌と化学療法 39(12):1779-1781 |
免疫細胞療法施行患者におけるシイタケ菌糸体抽出物摂取の免疫およびQOL改善作用 | 谷川啓司、伊藤裕介、酒井美佐子、小林泰信 |
2010年 | Biotherapy 24(4):320-326 |
臨床的立場からみる免疫療法のあるべき今後の展開 | 谷川啓司、奥山隆二、小林泰信、バレンチナ・オスタペンコ、清水公一、有賀淳、高崎健 |
2009年 | Biotherapy 23(4):310-316 |
民間医療機関としての癌治療に対するアプローチ | 谷川啓司、奥山隆二、小林泰信、バレンチナ・オスタペンコ、大野智、清水公一、有賀淳、高崎健 |
2007年 | 細胞 39(6):38-41 |
免疫細胞療法の導入のための医療支援サービス | 谷川啓司 |
2007年 | 細胞 39(6):26-29 |
ガンマデルタ型T細胞を用いた免疫療法 | 有賀淳、小峰啓史 |
2007年 | Immunopharmacol Immunotoxicol, 29: 31-47 |
Separation methods of T cells, natural killer, and dendritic cells from peripheral blood of cancer patients using interleukin-2 and functional analysis of natural killer cells after separation. | Matsushita N, Aruga A, Kobayashi Y, Tanigawa K, Yamamoto M. |
2005年 | Biotherapy 19(4):317-324 |
選択的培養法によるNK細胞療法の新展開 | 有賀淳、小林泰信、松下典正、須藤俊美、谷川啓司 |
2004年 | 癌と化学療法 31(11): 1655-1658 |
腫瘍細胞の多様性に対応した複合癌免疫細胞療法の新規開発 | 松下典正、小林泰信、田中宜之、中尾真修、清水公一、竹下信啓、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 日本外科系連合学会誌 28(5): 934-940 |
肝内胆管癌術後リンパ節転移再発に対し活性化自己リンパ球移入療法を行った1例 | 須藤俊美、清水公一、谷川啓司、羽鳥隆、山本雅一、有賀淳、高崎健 |
2003年 | 癌と化学療法 30(11): 1776-1779 |
NK-Enriched LAK細胞の培養とその有用性 | 小林泰信、須藤俊美、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2003年 | 癌と化学療法 30(11):1817-1820 |
非特異的免疫細胞治療における効果細胞の解析 | 須藤俊美、小林泰信、松下典正、中尾真修、田中宜之、清水公一、谷川啓司、有賀淳 |
2001年 | 血液フロンティア 11(8): 59-66 |
樹状細胞の腫瘍内局注療法 | 谷川啓司、清水公一、藤沢俊美、有賀淳、高崎健 |
その他
その他、ご報告させていただきます。
掲載年 | 掲載 | 出版 | 題名 | 執筆 |
---|---|---|---|---|
2016年 | Hyperthermic Oncology from Bench to Bedside P329(Chapter 31) | Springer | Effects of Fever-Range Hyperthermia on T Cell-Mediated Immunity: Possible Combination of Hyperthermia and T Cell-Based Cancer Immunotherapy |
Tanigawa K, Ito Y, Kobayashi Y. |
2014年 | 平成26年度 薬剤師継続学習通信教育講座 第8回 がんって何? -遺伝学的検査と新たな治療-P1 |
一般社団法人 日本女性薬剤師会 |
Ⅰ.総論 <専門医の立場から> がん総論 |
谷川啓司 |
2006年 | 治療シリーズ1 肝臓病の最新治療 P368 |
先端医療技術研究所 | 技術・学術資料 「癌免疫細胞療法支援」 |
谷川啓司 |