がん細胞と免疫反応との力関係
私たちの身体を構成する細胞は、新陳代謝で古い細胞と新しい細胞が入れ替りますが、細胞の持つ寿命と新しい細胞が生まれる周期は同じでなければいけません。そうでなければ私たちの身体の形は変わってしまうからです。
ところが、偶然にも新しい細胞が生まれる周期が速くなるといった遺伝子の間違い(突然変異)を起こすことがあります。つまり、寿命が尽きる時間よりも、かなり早い速度で新しい細胞を作り出すことを意味します。これががんが増え続けてしまう理由です。
さらに、がんは正常ではない異物でもあるために、必ず免疫からの攻撃を受けることになります。ただし、いくら免疫による攻撃が行われても、その攻撃によってがん細胞が排除される速度に、がん細胞の増える速度が追いつかなければ結果的にがん細胞は増え続けることとなってしまいます。
すなわち、がん細胞とはどんどん増えるという性格を偶然持ち突然変異を起こしてしまった細胞であり、なおかつ、その増える速度は免疫からの排除によっても追いつかない細胞なのです。
免疫細胞療法を行う理由
がん細胞に対して免疫反応が不充分である理由は、がん細胞側が免疫反応を受けにくくさせる性格を持っているからです。
その内容が解明されはじめた結果、がん細胞に対する免疫反応を少しでも増強させようと、細胞学的な手法が取り入れられるようになりました。これが免疫細胞療法です。
- 活性化リンパ球療法の目的
- 体内にはがん細胞を攻撃するリンパ球(キラーTリンパ球)が常に待機しています。しかし、このリンパ球たちは、待機状態から戦闘状態に変わるきっかけがあまりありません。
血液から採取したリンパ球を強制的に戦闘状態にさせ(活性化)体内に戻すことで、攻撃させる機会を作ることが活性化リンパ球療法の目的です。
- 樹状細胞療法の目的
- 体内にがん細胞を攻撃するリンパ球はいるものの、攻撃の目印の少ないことががん細胞の排除を難しくしています。
免疫細胞ががん細胞を攻撃できる新たな目標を見つけ、これに対して攻撃するリンパ球を育成するように仕向けることが樹状細胞療法の目的です。
実際にがん細胞の攻撃・排除に関わるのは活性化リンパ球であり、そのリンパ球たちの攻撃目標をより多く作らせる(がんを目標として攻撃できるリンパ球の種類を血液中に増加させる)のが樹状細胞療法です。
したがって樹状細胞療法は活性化リンパ球療法と併用することが望ましく、ビオセラクリニックでは併用を基本としています。